新たな土地政策に向け中間とりまとめ骨子案

国土交通省は18日、国土審議会土地政策分科会企画部会(部会長:中井検裕氏)の35回目となる会合を開き、新たな総合的土地政策の策定に向けた中間とりまとめの骨子案を提示した。2016年に同部会がとりまとめた「新たな土地政策方向性2016」のフォローアップ等を目的に検討しているもの。

 冒頭、国交省が骨子案のうち、「土地政策の新たな方向性」と「新たな方向性を踏まえた当面の施策展開」について説明。

 「土地政策の新たな方向性」では、「2016」策定以降の土地政策を取り巻く状況変化を踏まえ、少子高齢化・人口減少だけでなく自然災害への対応も踏まえた現行の土地基本法の抜本的な改正と土地政策の再構築が必要だと指摘した。その上で、土地・不動産の有効活用に向けた施策の基本的な考え方のうち、低未利用地の活用に向けた需要喚起策等については「市場で利用価値が認められる」土地・不動産と「市場で利用価値が認められにくい」土地・不動産に分けて、需要喚起・創出が重要だと指摘。利用価値が認められない土地・不動産については地域への不利益を及ぼさないよう、所有者による適切な管理が重要だとした。また、省庁横断的な土地・不動産の情報基盤の整備の必要性についても言及した。

 これらを受けた「施策展開」については、都市再生緊急整備地域制度等による都市競争力強化、ウォーカブル都市の構築、エリアマネジメントの構築等を挙げたほか、不動産流通や投資市場の活性化の必要性を盛り込んだ。低未利用地の活用促進については、空き家・空き地バンクやランドバンクの全国展開、税制特例による少額不動産の流通促進などが必要だと指摘している。

 また、土地政策を推進する上での障壁となっている所有者不明土地については、円滑な利用を目的としたモデル事業の実施等によって公共的利用を推進するほか、不動産登記情報の最新化、農地・森林に関する対策の必要性も訴える。

 これらに対して、委員からは「所有者不明土地の管理にはコストがかかる。エリアマネジメントやグリーンインフラにも使用できない土地の管理については、国庫から管理コストを拠出するべきでは」、「国内需要の喚起だけでどうにかなる問題ではない。地価を下げることが需要喚起には効果が大きいが、さまざまな不都合もある。価格を下げずに、外資の積極的誘致も行なわないというスタンスであるならば、供給調整の必要性を本当に考えていかなくてはならない」などという意見が挙がった。

 次回の会合は12月9日を予定。今回の会合で上がった意見を参考に中間とりまとめ案を提示する。年内のとりまとめ策定を計画している。